第14回地上げのテクニック2

地上げの攻勢にあった人が「うちみたいに古い家が狙われるんだよね。手入れもしてないから」と言っていました。

地上げにあった家を見てみたらシロアリにやられても修理せず、そのまま住んでいた様子が見られました。家を建て直さなくてはと悩みながら時間がたってしまったところで、地上げは渡りに船だったのでしょう。

また別の人は地上げ屋に「家が築50年近くたつので今後長く住むためには、屋根の補修に約100万円、老朽化した排水管などの取り替えに約50万円、給湯設備の交換に約50万円その他総計約数百万円はかかる」と言われ地上げ屋の負担で別の場所に家を新築するから土地を売れと迫られたそうです。そんな修理にお金がかかるなんて、じゃあいっそ売ろうかという気持ちにさせようというわけです。そんな地上げ屋の言葉から家の傷みが不安になり、割高な家の修理の売り込みも当然と思えて、売り込みに乗せられてしまった例がありました。

普段から家の手入れをまめにしておくことが必要です。そうしているうちに良心的な職人と知り合うことも出来、安心して安い修理をたのめるようになるでしょう。そうすることで地上げの攻勢に合わないですむかもしれません。(あ)

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写真:家の修理の宣伝

第13回 地上げのテクニック1

常盤9丁目15番地のマンションの一つおいて東側の3丁目のブロックと、同じく一つおいて西側の9丁目のブロックで地上げが進んでいるそうです。東側は9丁目15番地のマンションと同じ地上げ屋です。また西側は9丁目15番地のマンションの最初の企画者である中山道の大地主が原因らしいと言う話で、それが本当なら同じ地上げ屋かもしれません。

15番地の地上げの話にのった人、のらなかった人や、10年くらい前に9丁目で地上げの話にのって契約したけれども話がつぶれてしまったという経験のある人の話を聞いてみました。

まず共通するのが、あなたの家の前に例えば15階のマンションが建つ、もう誰々さんは売ることに決まった、などと嘘をつくことです。南に高いマンションが建てば自分の家・土地の資産価値は激減します。マンションが建つ前に売ってしまわなければとあせるのは当然です。また個人の資産のことなので、周辺の人と話し合うことはなかなかしないものです。とくに自分だけは損をしたくない、うまくやりたいと考える人は地上げ屋の口車に乗りやすいようです。

しかしよく計算してみると、15階のマンションを建てると言われた土地では15階はとうてい建たない面積、地型であることが分かります。15階マンションを建てたいから地上げ屋は回りの土地が欲しいのです。

たとえ15階でなく10階でも7階でも高い建物が南に建てば日照がさえぎられ住みにくくなるいうことは事実です。でもすぐに地上げ屋の話に乗るのは得策ではないようです。逡巡していると地上げ屋は値段をあげていくそうです。

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 写真:7世帯、1駐車場が地上げられた土地

第12回 地震で壊れたエクスパンションジョイント

阪神大震災の後に、「今まで1度として同じ地震はなかった」と書いた学者がいました。
この度の熊本地震も、本震かと思った地震のあとに更に激しい本震があり、余震も激しく長く続くという例のないもので、被災地の人たちの心労はいかばかりかと推察されます。

第7回で書いたマンションのエクスパンションジョイントが熊本地震の前震で壊れたと報道されました。ネットによると本震でさらに崩壊、亀裂がひろがったとのことでした。
火事でエクスパンションジョイントが使えなくなる事態は想像していましたが、地震のことは考えてもいませんでした。

常盤9丁目の三菱地所レジデンスのマンションの場合は東棟には階段が二つとエレベータがありますが、エクスパンションジョイントによる渡り廊下で東棟とつながっている南棟には階段もエレベータもありません。
地震でエクスパンションジョイントが破壊されたら南棟の住民は避難ハッチを使うしかありません。死ぬ思いで一旦逃げることはできるかもしれませんが、地震が収まった後、建物は無事だったからと物を取りに部屋に入ろうとしても、渡り廊下が壊れていたら部屋への出入りはできません。渡り廊下が修復されて部屋に出入りできるまでには相当の時間がかかるでしょう。

エクスパンションジョイントでつながっているから複数の建物を一体とみて階段等の設置基準を適用する(例えば建物が二つあっても一体だから片方の建物へ階段を集中させてもよい)とか、階段の代替手段として避難ハッチがあるからいいという現在の行政や司法の見解は全く住民の安全を考えていないと言わざるをえません。熊本地震を反省材料として改めてもらいたいものです。(あ)

写真:熊本地震の前震で壊れたエクスパンションジョイントの新聞記事

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第11回 ネズミ退治

4年前になりますが、常盤9丁目に野村不動産がプラウドというマンションを建てた時、まわりはすさまじいネズミの集団におそわれました。その被害は少なくとも1,300m離れた家にまで及んだのです。それまではネズミなど10年に1回くらい現れるくらいであった家でも、ネズミが家中駆け回り、押入の中や、家具の中などに入り込み、糞をまき散らし、色々な物をかじるなど被害が出ました。プラウドマンションに近い家では10数匹のネズミを捕まえたそうです。ネズミの入る穴を業者に頼んでふさいだ家が2軒ありました。10万円かかったと言うことです。我が家も台所の勝手口の下の開いていたところを自分で塞ぎ、屋根の隙間を大工さんに鉄条網を詰めてもらいました。

プラウドが建つ前は広大なお屋敷で高い塀のなかには素敵な日本建築の建物とコンクリートの建物が垣間見えました。
「壊したらネズミの巣が五つもあったそう。ネズミが出るというのもマンションにする理由の一つだったんですって」と言う人がいました。とんでもないことです。ちゃんと退治してから壊してほしかったです。

このたびの三菱地所レジデンスのマンションの予定地には、プラウドのネズミの残党がいまだに出没する家が1軒と、あきらかにそこにもいると思われるアパートが1軒ありました。今度は迷惑をこおむりたくないと立ち退いた直後に1軒の家にはネズミホイホイと殺鼠剤を置かせてもらいました。のちに道路に1匹と隣地の庭に1匹ネズミの死骸があったので、薬が効いたのかもしれません。
三菱地所レジデンスのマンション予定地のまわりの家では、地上げされた住民が引越すあたりからネズミがまた頻繁に出るようになりました。
住環境を守る会としても解体前のネズミ駆除を三菱地所レジデンスに申し入れしました。

しかし時既に遅し。地上げされた家・アパートから住人が立ち退いて2ヶ月以上経っていて、解体業者が依頼したネズミ駆除業者によると、その時にはもうネズミはいないのだそうです。引越して3日以内でないと効き目がないそうです。
それでも2軒それぞれから1匹ずつ捕獲できました。元々ネズミが出ない4軒からは零でした。業者のやり方は粘着板を五つ並べその先に、餌となる殺鼠剤を三つプラスチックの小皿に盛りつけて置くというものでした。

業者によると、このネズミは2階にいたりしているので、ドブネズミではなくクマネズミとのこと。糞の形もクマネズミは丸ではなく細長いそうで、たしかにプラウドのネズミの糞は細長かったです。

解体前の家の駆除だけでは仕方がないので、解体業者から粘着板と薬をもらいすでにネズミが移って行った先の家に配置してもらいました。3匹捕獲した家がありました。

ネズミ除けに有効なのは猫を飼うことだそうですが、実際猫を飼っている家にはプラウドの時からネズミは現れませんでした。(あ)

写真 襖の端の黒ずんでいるところがクマネズミの出入りした跡。

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第10回 マンション購入の前に

 最近、富裕層へ相続税対策になるとか、若いサラリ-マンには資産形成になるなど多く聞かれる。マイナス金利ともなると拍車がかかるのではないか。
 こうした時一読をお勧めしたいのが、牧野智弘著「2020年マンション大崩壊」(文春新書780円+税)である。
 その本のカバーから引用する。
東京五輪を前にマンション価格は上昇中。だがその裏で管理費や修繕積立金の滞納、相続権の拡散など多くの問題がうまれつつある。空室急増でスラム化する大規模マンション、高齢化で多発する孤独死、中国人に牛耳られる理事会・・・・・全国600万戸時代を迎えたマンションに未来はあるのか。】
 最近の新聞や週刊誌によれば、業界では若年層が買いやすいように、3千万円代の物件を増産する傾向にあるという。マンション販売会社の巧妙な「セールストークに迷わされないよう、よく検討したいものである。(子猫一匹)
写真:『2020年マンション大崩壊』

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第9回 最新の消防

お祭りの時に、地震車に乗ったり、はしご車の運転席に座ることができる体験コーナーがありました。「はしご車は何階まで届くのですか」と聞いたら「階高にもよりますが、普通8階ですね」とのことでした。じゃあ高層マンションの場合はどうするんだろう、火事の時、助からないじゃないと思いました。

三菱地所レジデンスの14階マンションの説明会で、「こんなに細い道路では消防車が入らないのではないか」という質問が住民側から出ました。東棟は5.45m道路に面していますが、南棟の接している道路は2.73mしかありません。設計者は「少し離れた8.33m道路に消防車を停める。連結送水管を使い消火する」と回答しました。

後日消防署の方に聞いたら高いマンションの場合、今時は外から放水して消火することはなく、マンションに設置されている各階まで送水可能な連結送水管にポンプ車からホ-スをつないで送水し、消防士はホースをかついで階段を駆け上り、現場階でホースをつないで放水するんだそうです。せまい道路に消防車を停めると他の消防車が入れなくなるから、離れていても広い道路に消防車を停めると言っていました。

新聞の記事に、「2016年2月8日、所沢の31階建てマンションの15階で火事が発生したが、はしご車が届かないため連結送水管にホースをつないで現場階から放水しようとした。しかし間違えて連結送水管でなく地下への散水用送水口にホースをつないでしまった」とありました。

やはりマンションを買うなら、消防車が停められる位広い道路に面し、はしご車が届く8階以下の部屋にした方が安心と思うのですが。(あ)

写真:高層マンション15階の火事についての記事

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第8回 避難ハッチ

6階以上あるマンションでどう見ても階段が一つしかないものがあります。どうしてそんなことが許されるのだろう、階段が二つ必要と言う法律が出来る以前に建てたのだろうかと専門家に聞いたら、避難上有効なバルコニー  があれば良いとの返事でした。つまりバルコニーに避難ハッチがあれば良いと。

避難ハッチとは何か?ネットで検索してみたらバルコニーの床にある四角いステンレスの装置で、ステンレスの蓋を開けボタンを押すと金属のはしごがパタンパタンと下に降りていきます。その四角い穴からはしごで下のバルコニーに逃げられるというわけです。

12月19日の三菱地所レジデンスマンションの説明会で「地上40メートルのところで、お年寄りや小さい子どもが避難ばしごで降りられるだろうか。本当に命の危険がせまっている最後の最後に使うもので、やはり階段はマンション住民のためには必要だ」と発言した住民がいましたが、避難ばしごとは避難ハッチのことだったのだと専門家の話を聞いてはじめて分かりました。

高いマンションを見上げて避難ハッチを使うことを想像するだけでそんなこと怖くてできないと思います。それにマンションの真ん中辺から火が出た場合、それより上の階の人は上に逃げようとしても自分では避難ハッチで上に逃げることは出来ません。上の階の人がハッチを開けてはしごを下ろしてくれれば別ですが。

ネットには別の恐ろしいことが書いてありました。ベランダで煙草を吸っていると、上階の嫌煙者の人がハッチを開けて覗くのだそうです。

また蜘蛛男みたいに高い所が怖くない犯罪者には便利な装置になるかもしれません。

やはりマンションでは避難ハッチが要らないくらい階段が整備された部屋を選ぶべきでしょう。(あ)
写真:避難ハッチ

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