第12回 地震で壊れたエクスパンションジョイント

阪神大震災の後に、「今まで1度として同じ地震はなかった」と書いた学者がいました。
この度の熊本地震も、本震かと思った地震のあとに更に激しい本震があり、余震も激しく長く続くという例のないもので、被災地の人たちの心労はいかばかりかと推察されます。

第7回で書いたマンションのエクスパンションジョイントが熊本地震の前震で壊れたと報道されました。ネットによると本震でさらに崩壊、亀裂がひろがったとのことでした。
火事でエクスパンションジョイントが使えなくなる事態は想像していましたが、地震のことは考えてもいませんでした。

常盤9丁目の三菱地所レジデンスのマンションの場合は東棟には階段が二つとエレベータがありますが、エクスパンションジョイントによる渡り廊下で東棟とつながっている南棟には階段もエレベータもありません。
地震でエクスパンションジョイントが破壊されたら南棟の住民は避難ハッチを使うしかありません。死ぬ思いで一旦逃げることはできるかもしれませんが、地震が収まった後、建物は無事だったからと物を取りに部屋に入ろうとしても、渡り廊下が壊れていたら部屋への出入りはできません。渡り廊下が修復されて部屋に出入りできるまでには相当の時間がかかるでしょう。

エクスパンションジョイントでつながっているから複数の建物を一体とみて階段等の設置基準を適用する(例えば建物が二つあっても一体だから片方の建物へ階段を集中させてもよい)とか、階段の代替手段として避難ハッチがあるからいいという現在の行政や司法の見解は全く住民の安全を考えていないと言わざるをえません。熊本地震を反省材料として改めてもらいたいものです。(あ)

写真:熊本地震の前震で壊れたエクスパンションジョイントの新聞記事

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